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2013年度4年白石ゼミ

武蔵野美術大学 造形学部 デザイン情報学科 2013年度 4年白石ゼミ ゼミ記録と連絡のためのブログ

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2024年 04月 27日|comment(-)

卒業研究テーマ発表会の講評 03

白石です.
卒業研究テーマ発表会の講評を掲載します.
C19~K8までの人は以下のとおりです.

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 C 19 長井 優衣

先生方の講評を読み解くと,まだ成果の全貌が見えない…といったところでしょうか….ただし,面白そうな作品ができそうな予感は,発表で漂わせていたと思います.デジタルな展開より,アナログな展開の方が面白いような気もするのですが,デジタル処理に頼った方が簡単にできます.装置の制作がメインになるようならば,早めに技術的解決を行う必要があります.9月になってからでは遅いです.実現可能な作品を想定しながら,早い段階で試作を行い,最終的な作品を明確にしていきましょう.

今泉先生より
インスタレーションは、その現象を成り立たせている隠れた関係性を体験者に見いださせる「発見の喜び」をもたらす点に最大の魅力があると思う。そうした意味を実体化する試みとしてください。

森山先生より
<自然ラジオ 天然ラジオ ソラジオ2> 音のない自然現象を音に変換する仕組みを聞きのがしてしまいました。9月の展示で理解したい。

長澤先生より
天気や気候を示す新しいインスタレーションとしての装置を製作するということは想像できる。ただ、自然と連動するものなので、卒展の1月という季節をしっかり考えておいてほしい。どういう装置になるのか、楽しみ。

井口先生より
人間は自然の力を(音だけではなく)五感で感じていると思うので、その点をよくよく考えること。単に風や日差しをセンサーによって感知させたインスタレーション装置を作品化するだけでは、元々のコンセプトとズレが生じるの可能性あり。

井上先生より
ある種の媒体変換ということね。個人的には、その変換後のカタチが「音」だけというのが寂しい感じがしちゃう。ほかにもあればいいのに、と。利用者が選べるといいのになー。

佐藤先生より
環境情報を集めるセンサーと、それを処理して変換し、表現する部分が室内にあるということは、すべて電子情報にして扱うんですよね? 各種の情報をどうやって統合させるのかの、大まかな戦略がまだ見えない。
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 C 20 西山 元基

先生方の講評は,全体的に,悪くはない…悪くはないのですが,実際にどのような形になるのかが予測不可能な点で不安要素が大きく,最終成果物の完成度の高さが何より説得力を高めることに直結していると言えます.個人的には椅子というキーワードを発表せず,結果として椅子の形状に近くなったと言った方がいいのかもしれないと思いました.オブジェクトとして見るからに「落ち着かせるもの」にするのではなく,見た目は不安定で弱く見えるものが,座ってみると期待から外れて「落ち着くもの」になった方がそのリラックスさせる驚きに代わるのではないかとも思いました.椅子としての安定感・守られている感じは,予想通りで既存にあるもので解決されているようにも思います.意外な素材と構造で,見た目には予想のつかない安定感を期待します….


今泉先生より
研究テーマシートにあったように「落ち着かせるという機能を果たすモノ」ではなく、落ち着くという「行為」、あるいは落ち着くとカタチを表現するというのは、微妙だが面白そう。しかし、その行為が何らかのモノ=椅子によって支えられており、その椅子をデザインすることが目的だという話の展開はどうかと思う。

森山先生より
<Week point> 最後はインスタレーション(立体)作品となるわけですが、動物のぬいぐるみランドにならないように、調査→作品に飛躍がほしいところ。

長澤先生より
「落ち着く」感、というのは、かなり個人的な感性に依拠するだろうから、展示で一発勝負のようなものではなく、何度か製作する椅子のようなものに座ってもらう実験を通して、所定の想定した「落ち着き」感を実現する試行錯誤をした上でのものでなければならないと思う。

井口先生より 何となく「落ち着く」というテーマと「守る・守られる」ということがストレートに結びつきにくく、それを違和感なくブリッジできるような説明(ロジック)が必要ではないか。もう少し「リラックス」を中間キーワードとして考えてみたら良いのでは?

井上先生より
発表を聞いただけだと、がんばって、としか言えない。出来上がる立体物を体験して、好きか嫌いかで判断するしかないかも。何か、深いとこまで調査した結果とか、何かがあるといいのですが。

佐藤先生より
椅子状の守られるオブジェクト、というものができるのだと理解しました。そのオブジェクトはいったい内側が問題なのか外側が問題なのか、まだ要所がクリアに見えてこない感じです。
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 C 21 パク ジホ

20分の映像作品は,ジホ君のことを知らない人はまず最後まで見てくれないように思います.ドキュメント映像の内容を期待させるようなダイジェストムービーを1分から3分程度で作り,その映像も独立して,パネルと一緒に展示できればいいと思います.エンターテイメントの要素と真面目な要素をどのようにミックスさせるかが作品のポイントになりそうです.

今泉先生より
日韓の伝統的な説話を取り上げて、比較してみるのは面白いと思うが、その間に何らかの共通枠を用意しなければ並置しても意味がよくわからないかもしれない。最終的なアウトプットはドキュメンタリー映像になるとのことだが、いまひとつリアルに想像できないのが残念。

森山先生より
<韓・日説話の由来> 韓国のダングン説話と日本のイザナギ・イザナミの比較、百済と日本の密接な関係を示す説話および単語など、興味深いエピソード満載です。ドキュメンタリー映像が形式とベストかどうか。

長澤先生より
説話を事例にした比較文化研究の成果をドキュメンタリー映像で見せるという取り組みだが、朝鮮半島を経由して日本に伝わってきた説話が、日本でどのように変形したか、この取り組みは、朝鮮半島の文化と日本文化との相互関係と差異を再認識する期待すべき取り組みだと思う。あれもこれもというのではなく、最も象徴的な例を取り上げて、インパクトのあるものに仕上げてほしい。

井口先生より
現在の日本人と韓国人の価値観の違いがどのようにあるのかという一般解を引き出すのも大変だと思うのに、またそれらの考えや価値観につながる説話を取り上げてその因果関係を捉えようというのは(限られた時間の中)難しいのではないか。

井上先生より
なんとなく、面白そうな気はします。ただ、展示するときに、細かいとこまで並べると、アップアップしてしまい、ちゃんと見てくれないかも。20分もちょっと長いと思う。2バージョン作り、サマリーバージョンをいつもエンドレスで流し、時間を決めてスタンダードバージョンを流す、というのはどうでしょうか。

佐藤先生より
その国の文化の傾向を神話までさかのぼるというのは、説得力はありますが、都合のいい例だけをあげてこじつけたような印象を持たれないように、十分に注意して扱う必要があると思います。
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 D 2 石松 夏実

先生方の講評は,全体的に,好印象です.デ情の卒業研究として,スタンダードな内容だと言えます.展示でどこまで面白がってもらえるかがポイントです.リサーチ内容も成果発表もエンターテイメントの要素を含みつつ,真面目なアプローチをしている点は,とてもよいと思います.このまま,テンションを下げずに研究・制作を進めてきましょう.

今泉先生より
プレゼンを聞いていると、もっと適したタイトルとサブタイトルがあるように思う。メガネのデザインはそれを使う人のイメージを大きく変える、という理解から、二次元キャラクターと三次元の人物が眼鏡をかけた際のそれぞれのイメージの比較……もう少し落ち着いた展開も考えられるのではないか。

森山先生より
<着せキャラメガネ> 作業は4段階。調べる、つくる、アンケート、冊子づくり。「こういう風に見られたい」像を体現するのがメガネ。メガネを自作するには簡単な方法があるようですが、ユーザーの判断はかなりシビアーでしょうから、製作するメガネの精度は大丈夫でしょうか。

長澤先生より
アニメの眼鏡キャラクターの調査をベースにしているので、山ほどの種類が続々と登場している眼鏡のタイプからの選択は、ある程度絞り込めるだろうとは想像できるのだが、アニメをベースにするとなると、かないザックリした形態の眼鏡になるのではないか。眼鏡ファッションのガイドブックのようなものなのか?

井口先生より
アニメや漫画におけるキャラクターデザインの一環としてのメガネの記号性と現実のファッションやイメージづくりにおけるメガネ選びは、まずはそのレイヤーが違うものと仮説立ててリサーチした方が良いと思う。あまり短絡的にやりすぎるとデザイン研究としては陳腐なものとなってしまう可能性あり。

井上先生より
内容から考えるに、やっぱりバーチャルな空間に持っていった方が、よりフィットするのでは、と思いました。見る人も、楽に体験できるし、2D、3Dを意識せずに扱えるし。考え方の方向性は、面白いと思います。

佐藤先生より
めがねを使った積極的なイメージコントロールの研究と理解しました。展示案の「説明」の位置が低過ぎです。「雑誌風の冊子」のタイトルは?
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 D 4 岩上 知世

岩上さんがどの程度グラフィック作品の表現力を持っているか…把握できずに4年ゼミをスルーしてしまっているので,個人的には何とも言えません.先生方の講評と私の受けた印象もほとんど同様なので,他の先生のアドバイスをよく理解して,今後の研究制作につなげてほしいと思います.
表現で勝負する場合は,とにかく試作と講評を繰り返すことです.9月の卒業制作研究ゼミでは試作を披露し,講評を受けるようにしてください.このままだと,単にやりたいことを雰囲気で伝えることはできるが,実際に作ってみると残念なものになりかねません.

今泉先生より
説明がまだ混乱している。もう少しストレートにアウトプットに結びつく言葉や技術を探してみて、自分の考えを確実な言い回しで表現するところから始めた方がよい。この状態で相談をもちかけられても、古堅先生も困ると思う。

森山先生より
<細胞 生命の可能性> イタリア・ルミネックス社開発の照明に関心があります。それを一例として素材探しが進んでいるようですが、「細胞」はほんとに説得力をもつモチーフになりえるのでしょうか。あるいは細胞にこだわらなくてもいいかもしれません。

長澤先生より
照明として機能する「細胞」というが、光る細胞を持った動物に想を得て、人工的に似たイメージを先端素材を活用して作品化するという試みなので、いかにその発光効果が出せるかがカギだろう。早めに、デジタル技術などをマスターし、同時に素材実験などして可能性をチェックしないと、その先に進めないので、注意のこと。

井口先生より
ある研究段階まで、頭の中にある細胞イメージとそれを作品として実現するイメージを別々に検討して交錯させないように注意した方が良いと思う。すでにいろいろな作品例や技術を見過ぎていて、主テーマである細胞イメージ追究から離れかけているように感じる。

井上先生より
「平面構成」じゃなくて、「立体」だったのでは、と思いました。だって、もともと細胞は平面にはそぐわないのだから。そうしないと、「照明」という効果がうまく表現できないのではないか、と思います。

佐藤先生より
新しいデバイスに全面的に期待するのではなく、自分が手に入れやすい素材で、最大限の効果を引き出すことが肝要だと思います。技術より表現!
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 D 12 佐藤 未麻

先生方の講評は,全体的に,やや好印象ですが,まだ現実的にどうのような計画で進め,どのような成果ができるか不明瞭な点が多いです.それも,テーマを練る時間が短かったため,しょうがないと思います.ただ,面白いモチーフを見つけてきたことは確かです.スタンプにするのが妥当かどうかはまだ決めなくていいと思います.まずは,ウミウシ研究とその効果的な作品展開を検討していきましょう.

今泉先生より
「フリーダムでクレイジー」なものをスタンプにする際、最も重要なポイントは何なのか。他の人には不可能な、卒業研究に値する質および量の作品を、インパクトのあるカタチで展示することを期待します。

森山先生より
<ウミウシさん> “フリーダムでクレージー”だというウミウシ(海の妖精)、私にとっては未知です。スタンプウミウシ、みたいものです。「赤のスタンプ」という説明があったきりですが、色彩はどうなるのでしょうか。

長澤先生より
ウミウシのスタンプを製作するというだけでは、卒研としては物足りない。重要なことは、「ウミウシ大全」のような独自の研究資料をまとめ、どのようにスタンプ用にパーツを分類するかについての研究なのではないか、と思う。単なるスタンプ製作に終わらないようにしてほしい。

井口先生より
とにかく出来上がる作品の出来次第というパターンなので、早めに作品づくりに着手しその完成度をあげていくことが先決。

井上先生より
まぁ、楽しいのはいいのですが、今回の卒研でこれをやることの意義を考えてみて欲しい。少なくとも、見に来た人が、見る前と見た後で、何がどのようにかわるのか、みたいな。ひとりよがりにならないように。

佐藤先生より
制作の核心となりそうな、スタンプにおける工夫が示されていないのですが、ごくふつうのスタンプでウミウシ的なるものを引き出すにはどうするんでしょう。色ですか?
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 D 15 戸田 襟香

4年ゼミにほとんど出席していないため,いきなり混乱しているようなテーマ発表になっているような気がしてなりません.ただし,他の先生方の印象は,良いので,発表は成功したともいます.まずは試作を重ね,9月の授業にのぞんでください.

今泉先生より
タイトルと内容がミスマッチな気がする。このことが示すように、企画の説明もまとまりに欠けていろんな方向をチラ見しているように思う。もっとストレートに、深海生物をアクセサリーにする際に必要不可欠な要素は何なのかを明らかにしたうえで、その狙いが見事達成されたことを実物で示してください。

森山先生より
<海中時計> モチーフは深海生物ですから、懐中時計仕様の樹脂アクセサリーとして展開するのは、非常にいいアイディアだと思います。モノもスペースも、冬の深海を思わせる神秘を達成してください。

長澤先生より
深海生物をモチーフにしたアクセサリー(懐中時計)の製作とのことだが、この種のオブジェの製作は、完成度がとても重要だ。モチーフはすべて水族館等の資料画像によるものだろうから、オブジェは精緻に作り込んで、可能な限り、時計としても使える実機能搭載のものにすべきだ。

井口先生より
深海生物をモチーフにした作品づくりにおいて、その独特のフォルムを最大限生かすためには(海中時計に絡めることは考えずに)アクセサリー単体で多くのアイテムをつくる方が展示効果としてもいいのではないか。

井上先生より
良いも悪いもないので、やりつくして、と応援するしかないか。個人的に気になったのは、なんで懐中時計枠を制限にしたのか、という点です。樹脂をつかうとすると、ちょっと大変なんじゃないか、と。

佐藤先生より
「懐中時計風のセッティング枠」ってのは既成のものですか? もしこのパーツがありものだと、作品が趣味的というか、カルチャーセンター的な制作物に見えるのですよ。どうしてディープアクアリウムの覗き窓をそのままアクセサリー化しないのですか?そこがオリジナリティのキーになるところなのに。
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 D 21 森山 ひかる

先生方には,制作内容の主旨と面白さが伝わっていません.残念です.プレゼンテーションでは,先生方が注目するキーワードと文脈,そして,その発表内容と成果物との相互関連性がマッチングされていないと悪い印象になります.個人的には立体仕掛けオブジェになると期待しています.夏期休業中に試作を重ね,その成果を9月の授業に持参できるよう準備を進めていきましょう.

今泉先生より
配布された資料とスライドの言い回しが違ってないか? 殺人現場は陰惨なだけなのではないか。複数の視点から覗きこむことで、不思議な奥行きを感じさせ、解決をもたらすためにはかなり計算された工夫が必要だと思う。最終展示が悲惨な結果に終わらないように、プロセスドキュメントにも注目したい。着実に制作していってください。

森山先生より
<殺人現場のパノラマボックス> 小説のストーリーを文字を使わずにパノラマとして制作する。これは計画はできますが、実際にのぞき手にとってはストーリーは浮かびにくい。絵・空間とストーリー・言語には、補完機能こそあれ、空間だけでは物語は成立しにくいでしょう。「聖書」ほど既知でなければ。

長澤先生より
「パノラマボックス」の効果がどのようなものか、いまいち想像できないのだが、想定するボックスの意図が効果的に体験できるようなものになることを期待している。実際には、3D映像などのほうがリアリティがあるだろうから、「パノラマボックス」を使うことの意味の強化を仕組むべきだろう。

井口先生より
不気味な世界やハラハラ・ドキドキのシーン展開を覗き見ることを想定した時、案外パノラマよりもデジタル的・断片的に見る方が臨場感を高める効果があるのではないかとも思ったりするので、いろいろ試しながら進めてほしい。

井上先生より
「パノラマボックスを覗く」という行為から、「ストーリーをひも解く」ことになれるのかどうか、が勝負でしょうか。うまくやらないと、「小さなおもしろそうなものをつくったのねー」という単純な感想しか得られないかもしれないから。

佐藤先生より
これって設定次第ですね。ミステリー小説の中の殺人現場をネタにするのは楽しめるかもしれませんが、たとえば日常の新聞に載っているような最近の殺人事件だったらシャレになりません。したがって、タイトルは再考したほうがよくないですか?
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 K 6 前澤 友理恵

すべては完成度にかかっています.完成度を上げるための制作プロセスの工夫もアピールポイントとして重要だと思われます.サンプル作品の制作を進め,徐々に完成度を高めていく手法をとりましょう.

今泉先生より
手描きの精密着彩のすごさを表すのであれば、通常のサイズにするのではなく、数倍から数十倍のサイズとするなど、なんらかの工夫を求めたい。

森山先生より
<2.5次元チョウ標本> 手描きの標本、完成度が生命線ですね。イラストや写真による半立体標本はすでに店頭にありますよね。異なる魅力を期待します。
長澤 細密着彩で半立体のチョウの模型を作るというので、もうこれはしっかり精緻に作品製作してもらうしかない。とにかく本物のチョウと見紛うくらいの精度を期待している。

井口先生より
チョウの標本を細密着彩による錯覚によって、立体化した標本にしようという研究内容には期待が持てる。これが想定通りの作品にできれば、応用範囲も広がると思うので精度の高い作品づくりに専念してほしい。

井上先生より
展示の方法は、ちょっと面白いかも、と思いました。「裏から見たら紙と~」ではなく、表からも裏からも蝶で、別のところで種明かしをする、というのでもいいかも、と思いました。まぁ、一番のポイントは、クオリティですね。期待してます。

佐藤先生より
【遅刻】どういう蝶を何種類作るのか、プランがあいまい。どんな紙を使うのか、何で描くのかをはじめとして、さまざまな要素にこだわりが発揮できるはずだが、それが全く述べられていないところが心配。
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 K 8 森田 倫加

先生方から予想以上に高い評価を得ています.地道に書籍の記事になる材料を揃え,その量で最終的に説得力の高い完成度になることを期待します.このテーマは出来上がるとかなりヒットすると思います.テンションを下げずに完成させましょう.

今泉先生より
「ナンセンスカタカナ辞典」も作り方によっては、ベタなだじゃれ辞典になりそう。本当の意味の記述のチューニングが狂っていると本当に悲惨なことになるので注意が必要。卒業研究にふさわしい質および量の作品としてもらいたい。

森山先生より
<ナンセンスカタカナ辞典> ナンセンス言葉はダジャレじゃない。そんな固いことをいわずに<おばかさん回答>も含めて、辞典と呼びうる数を集めてみてください。外来・カタカナ言葉に限るのは正解ですが、量が質に転じるかもしれません。

長澤先生より
「ナンセンス・カタカナ辞典」だとすれば、とにかく抱腹絶倒、ユーモアとナンセンスギャグ満載の、市販要請がくるほどの面白いものにして欲しい。

井口先生より
ナンセンスなカタカナ事典(辞典)といいながら、本当の意味にも触れられて為にもなる辞典という二重コンセプトをどう実現できるかがポイント。それを諦めるならば、誰もが吹き出す弾けた面白事典を目指してほしい。

井上先生より
「三篇」という点は面白い。今の立場から考えて、スタンダードだけど、良い分け方ですね。ただ、ナンセンスをがきっかけとなる人とならない人がいるだけに、諸手をあげて賛成はできないところが気になる点です。

佐藤先生より
なんだそりゃ、と思ったけど、オヤジギャグ的な存在感はあります。すでに知っている人に向けた本なのか、これを使ってカタカナ語を勉強しようとする人向けなのか、あるいはそれを装ったネタ本なのか。面白そうなのでしっかり作ってください。
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卒業研究テーマ発表会の講評 02

白石です.
卒業研究テーマ発表会の講評を掲載します.
B14~C18までの人は以下のとおりです.

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 B 14 後藤 夏希

先生方の講評は,全体的な印象として,発表時間が短く,内容が伝わっていない感じです.新聞折り込みチラシの魅力がしっかり分析されて整理されることを期待しています.チラシのサンプル数が少ないようにも思いました.また,新聞折り込みチラシの歴史をどれくらい詳細にまとめられるかもポイントになると思います.
制作に入る前に,歴史を把握する上での文献調査,チラシ制作業務を把握する上での会社訪問等のリサーチをしっかりと行い,冊子制作に入ってください.

今泉先生より
どれくらいの規模で資料を収集するのかがよくわからない。あまり説明もなかったのでちょっと無謀な感じが残ってしまった。

森山先生より
<折込チラシの解剖> この研究は解剖とは呼べないと思うのですが、どうでしょうか。折込チラシの「新な魅力」をうまく抽出できる方法を探ってください。

長澤先生より
折り込みチラシに関する研究所もあるので、訪問するなどして、しっかり調査して取り組んでほしい。

井口先生より
ひと口に折込チラシと言っても、どのような範囲でどのくらいの量を抑えてリサーチするのか。ある程度いろいろなバリエーションを網羅しないと、作品に説得力が持てないのではないか。

井上先生より
発表を聞いただけだと、単純に「まとめる」としか聞き取れなかったのですが、ちゃんと深く考えていますよね? まとめることが重要ではなく、そこから何かを見つけることこそが研究では、と思います。

佐藤先生より
折り込みチラシは地域差が大きく出ることが想像されるのですが、むしろそれは無視し、各業種の典型を探ろうというように受け取りました。モチーフは面白いのに、扱いがもったいないような気がします。
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 B 20 土岐 敦子

先生方の講評は,「フリーソフト」を使用する部分が引っ掛かったようです.また,発表内容がチューリングパターンの説明と最終成果物への関わり方が弱いようにも思いました.突破口としては,井口先生の講評にある「何らかのオリジナリティを求めたい。」の一点に集約されるように思います.チューリングパターンのフリーソフトに分析的数値入力を試みて,どのような数値入力だとどのようなパターンが生成されるかみていき,おおよそ予測ができるようになるといいですね.最終的にアニマル模様として類似する動物を上げることを目標にするか,それともオリジナリティの解釈を広げて模様の分類整理を行うか検討していきましょう.

今泉先生より
プレゼンで説明があったように、チューリングパターンはすでに公開されているフリーソフトを使って作れば誰でも作れてしまいそう。ここからどのようにモノの上に展開するのかにオリジナリティを求めるしかないのか? だとしたらポイントはどこにあるのか? 説明不足でよくわからない。

森山先生より
<アニマル模様のもと> 動画/インタラクティブ平面なる形式の提出もあるようですが、金属製品や雑貨に用いる以外に、手法そのものの提示もするのでしょうか。

長澤先生より
チューリング・パターンのデザインへの適用を研究するとして、基本的には「柄」なので、それをどういう状況や素材に活用すれば良いかが問われる。金属にチューリング・パターンをつける際の加工技術などにも工夫してほしい。金属に透明シールに刷ったパターンを貼付けるということは避けてほしい。

井口先生より
チューリングパターンというのは知らなかったけれど、フリーソフトでも出ている代物であれば、それを使っての作品づくりをいくらやっても卒研としては少し物足りない感じがする。何らかのオリジナリティを求めたい。

井上先生より
「実験」はいいとして、そこまでだと物足りない気がします。いずれも有り物を使っているわけで、大きな独自性が見られるわけではないし。もっと大きな目標があるといいのでは。

佐藤先生より
金属にパターンを転写するのはエッチングを使えばできそうですが。どこに関心の中心と仕事の核心があるのか、よくわからないプレゼンでした。
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 B 22 比嘉 みのり

先生方の講評は,どんどん文献調査を行い研究を掘り下げて,まとめてください…といった感じです.テーマ自体はネガティブな印象はなく,むしろ期待されている感じです.青色に関する様々な観点からの理解ができる内容になっているので,どんどん進めていってください.冊子にするときは,印刷のクォリティも重要です.発色の良さ,青色の再現性なども考慮して,制作作業を進めてください.

今泉先生より
「青」という色を多様な観点から取り上げ、まとめた冊子を作ると理解した。研究テーマシートには具体的にどのような観点から取り上げるのかが書かれていなかったが、スライドのプレゼンを見る限りかなり充実しているようなので、期待したい。

森山先生より
色に関するイメージと意味の研究や作品は多数あります。とりわけ、白、黒、赤、青などで、「青の文化史」といったものも存在してます。したがって、オリジナリティーを出すには独自の素材や論理が求められるでしょう。

長澤先生より
「青」のシソーラスということになるのだろうと予想している。社会的な人工物以外に、青空とか水などはどう扱うのか?かつて卒業研究で「水色」の研究があったが、それは、日本中の湖の色を、アクリル・ブロックを水色に染めて示したものだった。そういう具体例も参照するとよいかもしれない。

井口先生より
研究意図どおり「青色」に関する多様なイメージがビジュアル的に引き出せれば良いが、あまり学術的・文化的な意味の言及ばかりになってしまうと退屈な冊子になってしまうリスクもある。何とかうまくメリハリがつくように創意工夫をすること。

井上先生より
内容に対してコメントするレベルで理解できたわけではないので、がんばってとしか言えないかも。6分冊できる最終成果物のクオリティアップに力を入れて、完成度の高いものにしてください。

佐藤先生より
企画の全貌がわかる、安心して見られるプレゼンでしたが、事例をどれだけ集められるか、古今東西の青に対する言説をどれだけ知っているか、広範な知的好奇心が問われる研究になりそうと思いました。
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 B 26 山口 真人

先生方の講評は,賛否両論ですね.判断が難しいところです.ただ,テーマとして音を記録し共有すること自体は,このまま進めていくべきだと思います.集積された音の分類・タグ付,データベースとしての検索機能なども充実させたいところです.以前、ゼミの時間に話しをしていた音楽的ソフトではなく、ボイスレコーダーの性格が強くなっていますね。 既存にもたくさんのアプリがあるので、卒研でのアピールポイント・独自性を見出すべきです。 実際に作らないとだめな気がします…

今泉先生より
一見、あまりインパクトのないサービスになりそうな予感がする。すでにvineのようにショートムービーをSNS共有するようなものが出てきているが、あえて音声の交換を中心にする際のメリット・デメリットを明らかにしてもらいたい。文字や映像(図像)と違って、検索やブラウジングには向いていないので、この点をどのように使いやすいものにするか、工夫が必要である。

森山先生より <Soundpick> 音のSNSや音日記とは、現代だからこそですね。視覚情報より収集しにくい点で、面白みを感じます。

長澤先生より
音を記録するSNSアプリを創作するのであれば、早めに完成させて、実用実験を行い、そのドキュメンタリーも展示公開してほしい。つまり、どういう状況で活用され、どう感じるのかを検証せよ、ということである。できたらこうなる、的なアイデア提案では面白くない。

井口先生より
音を記録するSNSというコンセプトは試す価値はありそうだが、(視覚と違って)一般人が共有化して楽しい・面白いメディアにできるかどうかは多少疑問がある。ぜひその疑問を吹っ飛ばせるようなコンテンツを期待したい。

井上先生より
最低でもプロトタイプ、本来ならアルファ版ぐらいは動かしてほしいと、個人的には思う。実機でなくてもいいので、実に来た人が操作できるデモ環境は欲しいところか。

佐藤先生より
そういえば写真の加工サービスはいっぱいあるのに、音を加工してくれるサービスって聞かないです。ちょっとした録音を、写真のようにコミュニケーション要素として使うようになる可能性は感じます。
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 C 4 井田 圭亮

先生方の講評は,予想以上にネガティブだったことが残念です.発表が自信なく聞こえ,その制作物の面白さが伝わらなかったように思います.杉浦非水の花のドローイング資料なども挙げながら,もっとストレートに「線」の美しさを強調し,空間から平面に線を焼き付ける…といったわかりやすい発表だったら,全く違った講評を受けただろうと思います.実際に3年ゼミのときの作品は多くの人から賞賛を浴びています.自信をもって制作に取り組み,その成果を最終的に発表・展示してほしいと思います.

今泉先生より
基礎デの授業で同じようなものがあるが、この作品が卒業研究としてそれなりの意味と表現力を持つことを示せなければ、取り組む意味はないだろう。テーマシートでは触れられていないが、展示の際の照明によってオブジェの魅力を引き出すとの説明。事前に十分な試作を重ねること。

森山先生より
<空間と線> 情報と情報の境界を線にして……これは具体的にはなんでしょう。その線れが針金、なのでしょうか。サンプルが1点でしたので、意図と作品のイメージが十分につかめません。

長澤先生より
昨年度も針金で軌跡を製作した取り組みがあったが、立体化は、空間という自在な場をベースとするので、けっこう難しいと思う。立体的な形を針金でつくるということだから、鑑賞者が体験として面白さを感じるようなものにしてほしい。

井口先生より
想定している作品イメージとしては針金によるワイヤーフレームモデルのようなものだと思うので、展示ではCG(2次元)と立体(3次元)の両方を相対比較させて見せてはどうか。いずれにせよ、展示に相応しいモチーフをよく検討すること。

井上先生より
立体を針金で表現、という手法は、これまでもごく普通に使われているので、ここで新たに何を出したいのか、が気になる点です。展示したものが、当初自分が思っていたことが伝わるものになるのかどうか、評価ポイントをしっかりつかんでおくといいでしょう。

佐藤先生より
平面の表象は見る方向が一つに限定されているから可能なのであって、ドローイングを立体化した場合、想定された方向以外からの見えは、意外性を伴ったノイズ的面白さとして認知されるのでは。したがって立体ドローイングの目的を事物の再現性に置いてしまうと、それはドローイングというよりは「模型」になってしまうと思います。
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 C 5 岡嶋 綾

先生方の講評は,実際に立体絵本を制作し,投影実験を重ねなければ,何とも言えない…といったところでしょうか.ポイントはその作品の鑑賞者の視点の動きと影の映り方だと思います.また,本のストーリーに関しては試作を重ねながら,検討し,この展示にマッチした物語を提示してほしいと思います.3年ゼミでの作品は良い経験になったと思います.計画的に作業を進め,完成度の高い作品に仕上げてください.

今泉先生より
記号の集積である本を読む際に引き起こされる没入感が、本を拡大するとそれなりに拡張できると考える根拠がよくわからない。こうした仮説とは別の視点から、冊子という形態を拡張したオブジェのデザインを考え直した方がよいのではないか。

森山先生より
<夢ものがたり> 本で見ても魅力があり、壁にうつる画像も楽しめる絵本とは、かなり完成度が高くなくては成立しないようです。夢を見ているような不思議な感覚を体験できることを、切に望みます。

長澤先生より
趣旨としては、360°アングルの映像装置の中に入るような感じかなと想像したが、絵本を影絵のベースのように機能させるというので、効果がどのようになるのか、興味がわく。影絵は、光源と型とスクリーン(壁)との距離関係が重要なので、しっかり実験して、想定した効果になるように製作してほしい。

井口先生より
まるで自分(鑑賞者)が絵本の世界に溶け込んだような空間づくりが想定されるが、演出のためのインスタレーションの仕掛けが重要な要素であることは言うまでもない。早めにタスクルームで実験を重ね、演出ノウハウを溜め込むこと。

井上先生より 発表を聞いただけだと、壁にうまく影が出るかどうか。壁との距離や、使う光源をうまく選ばないと、単にぼやけた影がでるだけになってしまう。あらかじめの実験がすごく重要になってくるので、早め早めの作業を期待。

佐藤先生より
操作している人は、絵本と壁の両方がうまく同時に視野に入るでしょうか? 目の前の絵本から出た光が壁に何かを映し出す、という構図は魅力的ですが、さまざまな問題があって思い通りに行かないかもしれません。うまく場を作り込むためには、いっぱい実験をしましょう。
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 C 8 菊地 洲見

先生方の講評は,予想以上に良かったです.ただし,「美大生観点」が発表内容には乏しく,今ある算数パズルを単に説明しただけのような感じがします.パズルが解けたときに何らかの驚きと美的価値観を感じるものに昇華してほしいと思います.ゼミでの4月の研究テーマから発展が見られないため,このペースで進めると,卒業研究としての質と量に達することができるか不安でもあります.後期の卒業制作の授業を積極的に参加して途中成果を見せられるようにしてください.

今泉先生より
算数パズルをやってみたい、という希望はわかった。卒業研究にふさわしいある質と量を期待します。

森山先生より
<算数パズル> 美大生観点の算数パズルというのがよく理解できておらず、プレゼンでもわまりませんでした。 

長澤先生より
ひとくちに「算数パズル」というが、算数のどういうこと(内容)をパズル化するのか、また、対象年齢など、もっと詳細な条件設定をして範囲も限定しないと、あまりに範囲が広すぎて、どう製作するか、自分でも迷うはず。意図していることが、「算数」なのか「数学的思考力」を狙っているのかでも内容と表現は異なるはず。しかり条件設定してほしい。

井口先生より
自分自身の経験から「算数パズル」を取り上げ美大生観点から制作しようという姿勢は素直で良いと思うが、そのセオリーや思考プロセス上の効果が研究過程で見つかればぜひ他のオリジナル(パズル)にも挑戦すべきではないか。

井上先生より
うーん、美大の卒研とは思えない内容ですねー。「その結果どのような効果をもたらすのか等のリサーチ、考察」の部分が一番重要なポイントなので、そこのまとめをしっかりとしてほしい、と個人的には思う。

佐藤先生より
地味ながらも味わい深い本になることを期待します。でもちょっとは視覚的にも何かびっくりさせたいところ。
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 C 9 小池 清梨

先生方の講評は,予想以上に良かったです.発表内容が非常にわかりやすかったことも功を奏したと思われます.タイトルロゴの例がどれくらい出せるのかがカギだと思います.「漫画」「アニメ」「ゲーム」のロゴデザインの時代的変遷とタイポグラフィー的分析とロゴデザインのプロセスをどのようにまとめていくか…かなりレベルの他か研究内容に思います.書籍としてまとめるときには,まず目次・台割・内容のレイアウトもよく検討し,作業を進めてください.

今泉先生より
「漫画」「アニメ」「ゲーム」と並べたところで出てくるロゴにはどのような特徴があるのか、またそれはどのような影響を受けているのか、しっかりと調べられればかなり面白くなりそう。ある程度のサンプル数をそろえること。

森山先生より
<漫画アニメゲームにおけるロゴ> ブラックレターをカタカナに転用するというのは驚かされました。十分に成立の妥当性が感じられます。

長澤先生より
「マンガ・アニメ・ゲームのタイトル図鑑」のようなものになるだろうと推察した。しっかり調べて、なるべく多くの事例を取り上げてほしい。

井口先生より
漫画アニメゲームのタイトルロゴに興味を持つデ情生が増えている傾向・現象は、最近気になっている。その制作現場のリサーチがどの程度可能なのかはわからないが、同様の研究テーマを持つ学生間であるところまではデ情内で情報共有しても良いのかもしれない。単にデザインの分解で終わらぬような研究内容を求めたい。

井上先生より
発表を聞いただけだと、「制作のプロセスをなぞったもの」を一冊の本にしてまで提供しなければいけない意義が感じられなかった。一般の人が理解したとして、何を得られるのか。

佐藤先生より
作例を効果的に見せる展示についても、同時に考えたいところです。
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 C 11 桜井 基成

先生方の講評は,全体的に,かなり好印象です.なかなかポジティブな講評をしない井口先生も期待している感じです.どれくらいマニアックにリサーチを行い,書籍としてまとめられるかがポイントです.夏期休業中にできるだけリサーチを完了させ,情報整理してください.最初に書籍としての目次立てをしっかりしておくと,リサーチも有効に行うことができ,作業を進めやすくなります.リサーチと制作がしっかり行えれば,高い評価を受けると思います.

今泉先生より
「映画を見に行く」のではなく「映画館を見に行く」? 話を聞いていると、ばらばらアイディアが出てきているが、もう少し適切なタイトルやサブタイトルがあるように思う。今回のプレゼンテーションは、方針を示すという意味ならわかるが、もう少しまとまったコンセプトや具体的な内容に触れてほしかった。ちょっと影が薄い感じ。

森山先生より
<ニュー・シネマ・ブックス> インタビュー敢行ですので、文献調査だけでない新味がでる可能性はありそう。ムック仕立てなのでしょうか。で、シネマでなく映画館についてのムックが、なぜ「ニュー・シネマ・ブックス」なのでしょう?

長澤先生より
あまり映画館に足を運ばないので、「昔ながらの映画館」は、記憶の中にあるだけなのだが、映画館を特集した映画雑誌や書籍などもあるはずだから、京王線八幡山駅近くにある大宅壮一文庫にも出かけて、調べてみると良いだろう。フロアプランや館内施設、トイレの位置など、空間性についても独自の視点にたったオリジナリティーのある資料本にまとめて欲しい。

井口先生より
時勢がら無くなっていく宿命にある独立型の映画館をリサーチして、その魅力を冊子にまとめるという研究内容には好感が持てる。できれば都内にとどまらず、地方にも足を伸ばして老若男女に親しまれた文化的・特徴的な映画館を網羅してほしい。

井上先生より
まとめた一冊の本が「研究」に値するのかどうか、という点が発表からは聞き取れませんでした。単に自分の思ったことを書き並べるだけでなく、資料性のような要素をもつ、本来の「研究」の内容が含まれていて欲しいと思います。

佐藤先生より
趣味的なテーマとはいえ、メジャーな評価を得られやすいアプローチだと思います。完成度を上げて、売れるほどの本にしてください。
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 C 18 中村 優生

テーマ発表に遅刻すると,後々の作品の印象に響きます.前もって入念に準備を行い,その場しのぎの発表は今後ないようお願いいたします.先生方はかなり温かい目で中村君を見守っています.その分,期待を裏切らないよう,しっかりと作品制作を計画した上で,自己表現の道に進んでほしいと思います.
音の質感という説明がまだまだ主観的な感性の視点からしか述べられていません…井口先生の講評にある「「意図する質感」をどのようにコントロールできるのかを知りたい。」…この疑問に答えられるように制作を進めてください.

今泉先生より
「コンピュータを使って音に物質感をつける」というアイディアは興味深い。これをどのようなインタフェースを介し、人間のアクションと結びつけるか、成功すれば非常に面白いものになるとなるだろう。期待は大きいが、すっきりしたデザインでまとめられるかどうか、不安が残る。

森山先生より
<pgqx パグキュクス> 仕組みがよく理解できておらず、オーケストラは部分でも体験しないと、なんら判断できないのです。

長澤先生より
インスタレーション型の取り組みなので、とにかくしっかり想定通りに作動することと、期待効果が得られることにすべてがかかっている。最終展示以前に、MAKEや芸術祭で実演してみるというので、それを踏まえて、展示審査時には、完成度の高い状態に仕上がっていることを期待している。

井口先生より
「コンピュータ音楽ならではの物質感」というテーマは今日的で興味あるテーマだが、これをあくまで卒研のデザイン研究として纏め上げることが本質的課題。単に現実・技術先行型の新しい音が闇雲に出来てしまってもダメで、「意図する質感」をどのようにコントロールできるのかを知りたい。

井上先生より
発表らしくない発表だったなー。創るモノはいいとして、それが、見に来た人に対してどのような効果をもたらし、体験した後でどのようになるのが正解なのでしょうか。なんか、創りっぱなし、って感じのイメージを受けました。

佐藤先生より
【遅刻】何をセンシングしてどのように処理してどういう出力が得られるのか、具体的なところが何もわからないプレゼンでした。音に質感を与える、というのをもっと噛み砕いて説明してほしい。
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卒業研究テーマ発表会の講評 01

白石です.
卒業研究テーマ発表会の講評を掲載します.
A1~B 13までの人は以下のとおりです.


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● A 1 有賀 汐里

先生方の講評は,全体的な印象として,実現してみないと何とも言えない…という感じです.
オブジェクトの作りこみ,効果音のクォリティだけでなく,装置としての完成度が問われています.
研究制作のテーマ自体は否定的な意見はなく,このまま試作を重ね完成のクォリティを上げていくことが
目標になります.
夏期休業期間を有意義に使い9月には試作をゼミで披露できるようにしましょう.

今泉先生より
音の出るモジュールを組み合わせる視聴覚を刺激する箱庭療法だと理解したが、全感覚からいろんな要素が抜かれているからこそ「箱庭」的であり、癒しが可能なのでは? 療法だとか癒しということを訴えるなら、要素が複雑化することの善し悪しを考えた方がよいと思う。それより、単純にサンプリングしたサウンドを組み合わせて楽しむDJ的なオブジェにした方が楽しそう。実際にしっかりした音の出るものにすること。

森山先生より
<ハコニワDJ> ぼんけい=盆景でしょうか。音の集合が意味ある<響き合い>をもたらすかどうか、実製作をへないと確信がもてないのではないでしょうか。その響き合いは偶然を利用するものなのかどうか。いずれにしても、9月の展示で検証してはどうですか。

長澤先生より
取り組もうとしている趣旨と制作物の様子は理解できた。このプロジェクトで最も重要なのは、音楽療法、箱庭療法を踏まえている企画なので、その効果が実現できているかどうかがポイントだろう。ただ、制作したオブジェクトから音が出る、というだけではないことを期待する。インスタレーションなので、展示審査時にしっかり想定した作動が実現するように。

井口先生より
音の組み合わせのチューニングは無限にあると思うので、心地よい(うるさくない)レベルをキープしながらいろいろ実験を重ねて装置等を仕上げること。個人的には、あまりオモッチャっぽくならない方が良いと思う。

井上先生より
音の種類の対象となる「オブジェクト」って何? 「高周波」としているけど、30ぐらいの「個体」に対して、いくつの音が出てくる可能性があることになる? 「音」ももしかしたら幅が広い? 置く場所を固定しなくてすむような方法はないだろうか?

佐藤先生より
現実の自然音を録音したものをそのまま使うとすると、それは箱庭の方のスケール感とうまくマッチするのか、というところがちょっと心配。いい音が鳴ってほしいなあ。
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● A 5 川久保 美冴

先生方の講評は,全体的な印象として,2次元を3次元に還元することの意味について問われています.
その疑問への突破口としては,井上先生の講評にある「光の空間演出にこだわった」作品,そしてその完成度にあります.
実験的な側面と,作品として鑑賞するに値する完成度の両面を要求されています.
完成度は,試作の回数を上げれば徐々に向上していくので,まずは試作を繰り返し作っていきましょう.
次に,光の演出にこだわった場面設定に配慮し,最終的な作品に昇華させていきましょう.

今泉先生より
漫画などのイラストに表現された色や光を三次元(ジオラマ)に持ち出すことで、本当に「豊かな立体表現」が可能になるのか? 通常は強制的に一つの視点しか与えられないからこそ、豊かさを感じられるのだと思うが……。実際の制作を通して、単なる工作レベルの工夫に終わらせず、着想の正しさを証明してもらいたい。

森山先生より
<イラストレーション的ジオラマ> 人物のいるイラストは3次元の現実を想定しつつ抽象作用をへて2次元で作成されていますので、それを3次元に戻した一場面をつくることには、原理的にどんな意味があるのでしょうか。フィギュアとジオラマの<入り口>以上の何かはあるのでしょうか、マンガとの対応関係を整理してはどうでしょう。

長澤先生より
これまでもジオラマ製作の取り組みはあったが、最も心配なのは、装置一式の完成度だ。手作りのガタピシの仕上がりでは、せっかくの狙いも実現しない。精緻に作り込む必要があるので、計画的に時間を使って、クオリティーの高い装置作品に仕上げてほしい。

井口先生より
研究の内容としては、漫画イラストから得られたカラフルで自由で華やかなイメージを空間表現に置き換えてみるということからスタートするのだろうが、それは舞台美術やスタジオのセットづくりと近似したものになるのではないか。研究展開として、何か特別な狙いがあればそれを知りたい。

井上先生より
「光の空間演出にこだわった」時と、そうでない時を比較して、明らかな違いが出てくれると、見る人も納得できるでしょう。じゃないと、単にインスタレーションしました、で終わっちゃいそうなので。

佐藤先生より
ライティングにこだわった情景付きフィギュア、ですね。作品が見られる方向をどれだけ制限するのかがまだ示されていませんでしたが、できれば360度、ぐるっとすべての方向から見えてほしいけど難しそう。
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● A 13 谷内 彩佳

先生方の講評は,全体的な印象として,かなり期待が寄せられています.内容・テーマ設定・最終成果物の世界地図,どれをとっても完成度が要求されていると言えます.地道な作業の積み重ねが最終的な完成度に大きく影響するので夏期休業期間中を有意義に使い,滞ることなく作業を進めてください.

今泉先生より
刺繍パターンを集大成するという冊子もさることながら、「立体地図」というサブタイトルにふつうではない面白さを感じた。卒業研究にふさわしい質量のものとしてください。

森山先生より
<世界の刺繍> 刺繍によって高低差をつけた世界地図には興味があります。ただし、書籍では各地の典型的な技法を自分でやって添付するとのことですが、本物との差異をどう認識したらいいのか、やや疑問をあります。技法サンプルであって、作品としなければいいのかもしれませんが…。

長澤先生より
取り組みの概要は理解できたし、面白い取り組みだと思う。基本的に調査は文献検索なのだろうから、再編集型のとりまとめになるだろう。刺繍による立体型世界刺繍分布図を製作するというので、しっかり精緻な仕上がりになるよう期待しています。

井口先生より
現在はデジタル刺繍も流行っているということなので、手刺繍のルーツや世界の状況を立体地図に表現するという作品には期待が寄せられる。その分刺繍ファンや文献・資料等も多いと思うので、世界ベースの網羅性とオリジナリティを忘れないようにしてほしい。

井上先生より
できあがるのが「冊子」としているけど、これが「本」ぐらいのしっかりした内容のものを期待したい。「世界地図」の方が州単位とすると、数種類しか出てこないので、量的に少ないというイメージが出てしまいそう。刺繍も入れ込んだ「書籍」みたいなアプローチはどう?

佐藤先生より
今までに見たことのない不思議な世界地図ができそうです。地図上の別な刺繍どうしの境目の部分が直線になっているところが、ちょっと「堅さ」を感じます。
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● A 22 宮嶋 彩乃

先生方の講評は,全体的な印象として,男女の性差に基づく感性の違いについてはおおよそ予測がつくため,誰でも思いつく安易な結果にならないよう注意を呼び掛けているように感じます.箱庭は,完成度の高さを要求し,かつ箱庭ならではの世界観を要求しています.かなり難易度の高い卒業研究制作に挑もうとしています.まずは,箱庭の試作,性差をどうとらえるか調査していくことがマストです.

今泉先生より
妄想の面白さはどこかに矛盾を抱え込みながら、それを差し置いても結果の面白さを認めたくなるところにある。「もしもこの世界に異性がいなかったら」というのはきわめて考えにくい状況なので、下手なエクスキューズは妄想のテンションを下げてしまう。あまり常識的な枠組みにとらわれずに、奇想天外な設定で作ってしまった方が面白くなるのでは? あくまでもこの枠組みで突き進む場合の話だけれど。

森山先生より
<one-sides town> ヤマギワでの男女の人気商品を調査はわかります。でも男女の脳の構造や心理、というところの両者は同列には扱えない事柄でしょう。2種の街を仮想世界としてつくる箱庭には興味はあります。興味はありますが、恣意的になるおそれも否めないように思います。純粋に研究的なものなのでしょうか。

長澤先生より
狙いは理解できるのだが、男女の性差に基づく感性の違いについて、安易なステレオタイプ表現になってしまうことのないように、しっかり調査分析を踏まえてほしい。できれば、普段の思い込みを覆す「新しい発見」があるような成果になることを期待しています。

井口先生より
まだ研究テーマに関する問題意識やリサーチの掘り下げが不十分な印象を受ける。まず研究に向けての仮説設定をしっかりやること、自己矛盾を起こさないようなストーリー立てを行うことが先決で、あせってリサーチを進めるべきでないのでは?

井上先生より
「研究」したあと、成果物が「立体」としていますが、さすがに飛びすぎでしょう。「研究」した成果を、「文、図、表」として、印刷物か電子的文章化して、記録としての成果物を期待したい。

佐藤先生より
インテリアのスケールでは明らかに男女差が出ると思うし、現実にそれを見ることができますが。町並みという大きなスケールで男女差が出るのであれば、見てみたいです。実際にないものを試して見せるための箱庭であれば、実に意義があります。
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● A 25 渡邉 隼

先生方の講評は,全体的な印象として,予想以上に良い反響でした.その分,各先生方のアドバイスも的を得たものが多いです.他の先生方のアドバイスをよく読み取って,制作に進んでください.テーマ設定で高い評価を受けると先の制作物もかなり好印象にうつります.その分,得をしていると言えます.ただし,先生方の期待を裏切らないよう,最後までテンションを下げずに研究・調査と制作を継続してください.

今泉先生より
「情報量」というものをどう捉えるかという面白い取り組みだとは思うが、タイトルとサブタイトルのマッチングがよくないのでは? 残念ながら現状の情報単位はツメが甘いので、鉛筆の存在ならではの情報単位をきちんと規定してから話を展開すること。うまくやればバカデミックな情報学というか、奇想天外なインフォグラフィックスが実現しそう。期待大。

森山先生より
<メモリーペンシル> 一本の鉛筆が生み出す情報量は、すごいんだろうなぁと推測します。ただ、類似のものを、卒制優秀制作展(基礎デ学生)で見たことがあるように記憶していますので、指導教員に確認してみてください。

長澤先生より
鉛筆が生み出す情報量の視覚化ということで、着眼点は非常に興味深い。ある意味、フツウの状態だったらどうでもよいことかもしれないことを、こうして「気づかせる」モノを「鉛筆を再認識するツール」として実製作することは、デザイン情報学的なアプローチとしても、意義深い取り組みであると思う。

井口先生より
鉛筆が生み出す情報量の視覚化というテーマは極めてユニークで面白いが、その根拠となるデータ収集と視覚化のための換算方法に不備があったら元も子もない。メーカー提供の借り物ばかりでは宣伝がましいし、だからと言って筆圧次第で振れ幅も大きそうなデータ換算にリアリティが出せるのかが心配。

井上先生より
どこまで正確に量を測るのかが問題。いずれの換算過程でも誤差が入ってくるので、換算過程がたくさんあると、最終的な値として出てきたものが、実際の値と比較して、あまりにもかけ離れた数値になってしまう。数字のお遊びにならないようなアプローチを考えて。

佐藤先生より
鉛筆の情報量を決定するときに、情報の密度が恣意的に設定されているような気がしますが、平均値や仮の数値の重ね合わせであっても、とにかく数量化しなければ何もできないわけで、仕方ないということはわかります。いずれにせよ、鉛筆をデジタル的に定量化してみようという意思とその手法には魅力を感じます。
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● B 1 浅井 香澄

先生方の講評は,全体的な印象として,悪くないようです.
制作のテーマ自体は,過去にも類似作品が多く存在しているので,その分,制作上,どうまとめるかがカギを握っているので,スケッチを9月,10月までに数をこなし量を稼いだ後,書籍(図鑑)としてどうまとめるか(編集するか)入念に検討していきましょう.

今泉先生より
研究テーマシートを見る限り、企画としての斬新さは見いだすことができない。「電車内生態図鑑」というタイトルで場所は限定されているので、人物のキャラクター別とか、路線別、車内の乗車位置など、何らかの区分から見いだされる発見を示せるよう、工夫を求めたい。調査の際にトラブルのないよう、注意。

森山先生より
<電車内生態図鑑> 電車内で実際にクロッキーするのですか。プロファイリングにはやるべき理由がはっきりしてます。面白いヒトには会えるでしょうが、<たまたま>以上に選択の基準はあるのでしょうか。電車ものは先行例が目立つように思います。

長澤先生より
「おじさん図鑑」的な、人の観察から描写をおこした図鑑制作なので、しっかり想定通り4路線の車内観察をして、特色ある、充実した内容の図鑑に仕上げてください。4路線の乗客の特徴がそれぞれ表現できていることを求める。

井口先生より
電車内の人間模様を観察してスケッチし、それを図鑑としてまとめるというのはもはや美大生の定番。それらと少しでも差別化するには、抽出されるシーンのバリエーションと卓越したスケッチ力が求められる。今回4つの路線での特徴を描き分けようとしているが、それには先駆けての大胆仮説がないと難しい。

井上先生より
おじさん図鑑の電車版ってことかな。それ以上でも、それ以下でもない、という、ごくスタンダードなアプローチということしか読めませんでした。普遍的なプロファイリングができればまだしも、個人的な感覚でのリサーチだと、テーマがテーマだけに、ひとりよがりなモノに見られかねないので注意してください。

佐藤先生より
【遅刻】よく出てくるテーマなので、どこにオリジナリティが出せるかをもっと考えないといけません。電車内でじっくり人間観察やクロッキーのできる時間帯は限られているので、その路線の乗客の典型的な人物構成を語るには、ラッシュ時の情報をどうやってとらえていくのか工夫が必要。
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● B 5 大澤 信哉

先生方の講評は,全体的な印象として,少しネガティブな感じがしました.どうも「カードゲーム」主体であることにひっかかっているような気がしました.5分間の説明の中では,理解されにくい研究テーマだと思います.ただ,その試みがいかに有益なものであるかをポジティブな印象に持っていくためには,タイトルや研究目的,方法,結果で端的に言えなければなりません.「カードゲーム」は,会議を円滑に進める上での副産物であって,それ以上に会議進行上のガイドラインが重要だと思われます.個人的には,この研究の試みはとても重要なものだと認識しています.

今泉先生より
ここで問題とされている「会議」とはどのようなものか。また目的として示されている「合意形成」や「他者受容」、さらに「円滑なコミュニケーション」を明確化したうえで、どのように既存の関係に働きかけていくかを、当該のカードとそれ以外の(既存の)ものとの組み合わせを含めたうえで、明らかにしてもらいたい。カードのデザインもさることながら、その意味を伝えるプロセスそのものの記述も大変そう。

森山先生より
<ロールプレイングカード> 話し合いの場をよくデザインできれば、日本中の会議はどれだけ意味あるものになることでしょう。社会にとって意味ある研究ですので、その進展を強く望みます。

長澤先生より
話し合いの場をより円滑になるように「カードゲーム」を使うという試み。「アイスブレーキング」というグループが人間関係を暖める簡単なゲームが多数開発されている。この取り組みもその一種かと思う。重要なことは、このゲームがどれほどの効果を生み出すか、ということで、既に開発運用されている多種のゲームとの比較や優位性などについても検証してほしい。

井口先生より
研究意図は理解できるが、そのツールとしてカードゲームが相応しいかどうかというとあまり有効とは思えない。ロールプレイングそのものは研修会でもよくやっている方法だが、わざわざカード化するものでもない。少なくとも、対象年齢的にそぐわない。

井上先生より
発表を聞いただけだと、どれだけ有用なものなのかが、いまひとつ理解できませんでした。使った場合と使わない場合だけでなく、使う場合でも現在の役割カード構成でいいのかどうか、評価方法が難しいでしょう。最終的に、納得できるカタチでの評価結果があることを期待します。

佐藤先生より
「カードゲーム」とするとトレーニング的な使い方しか想定できないので、いっそのこと実際の会議の生産性を高めるためのビジネスツールにするぐらいに、設定目標を上げてみてはどうでしょう。
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● B 6 太田 有紀

先生方の講評は,全体的な印象として,悪くないと思います.実際に試作してみないと何とも言えないというのが正直な感想だろうと思います.少し丈夫な紙(厚手ケント紙など)で試作してみましょう!葉を1枚だけつるすだけでは,説得力が低いように思います.パズルピースの数を調整しながら,形態の異なる葉を10種類ぐらい作り並べて展示できるぐらいの勢いで制作を進めてください.

今泉先生より
自己相似の原型サイズと最終サイズのギャップを数で乗り越えるにはかなりのパワーが必要になると思われるが、実現できるスケールのものに取り組んでください。

森山先生より
<パズル リーベ> 基本はY !。自己相似の数学的美しさを立体作品にする場合、数理的模型なのか、そこから飛躍した美しさを目的とするかで、異なる場面があるように思うのですが、どうでしょうか。手順に厳密なルールをもうけるかどうか。

長澤先生より
小さなピースを接合させて全体を完成させていくというタンジブルなゲームによって理解を深めるという、非常に興味深い取り組みだと思う。楽しさや面白さなどもしっかり盛り込んで、完成度の高いものにしてほしい。

井口先生より
「自己相似」という研究テーマには大いに興味・関心があるので、それに特化した純粋な研究を進めてほしいくらい。その成果をもとに葉脈パズルを再現・つくるというプロセスだろうが、本当に作品化することが研究成果を高めることになるかどうかは要検討。

井上先生より
「フラクタル」と「アルゴリズム」は同等に並ぶ用語ではない気がします。まぁ、それはいいとして、インスタレーションが、当初考えている効果を持つような工夫は必要だと思います。そうしないと、単純に細かな作業でつった葉が展示されている、というイメージで捉えられそうだから。

佐藤先生より
ある程度までこのパズルピースだけで形状ができていくことは考えられますが、最終的に1枚の葉が形成されるところまで持っていくのは、かなりの努力を要するのでは。数量の問題と、接合部の強度の問題をクリアする必要がありますね。
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● B 7 押谷 優希

先生方の講評は,全体的な印象として,賛否両論といったところでしょうか…出来上がりの規模と完成度が要求されています.実際の街並みをどうドットに変換していくか再度検討していきましょう.一つの建物が箱型の模型にはならないと思います.ドットの細かさの調整と作りこみが重要です.夏期休業期間を有意義に活用し,試作を重ねていきましょう!

今泉先生より
せっかくの構想が研究テーマシートのサマリーにきちんとまとめられていない。まずは言葉で言い切れるところまで達してもらいたい。立体化までを含め、低解像度のドット絵を描くためのルールをしっかり作ってから実作に取りかかってください。

森山先生より
<Dot town> 情報の省略と強調の効果を見極めたいとは、デザイン情報学的な設定です。結果はまだ想像できませんけれど……。

長澤先生より
写真のピクセルを加工すれば、自動的に「ドット絵」ができるのではないかと思うのだが、どうなのだろう?かつて、六本木ヒルズが完成した頃、東京都市部全体のミニチュア立体模型の展覧会があった。おそらく、似たプロセスで実現したものだと思うので、ぜひ調べてほしい。この大型プロジェクトには、ムサビ生も多数作業に加わったと聞いている。

井口先生より
今やろうとしている研究アプローチが、本当に「デフォルメ」という範疇に収まるものなのかどうかはよく考えてほしい。たとえば雰囲気をキープできたとしても「省略」と「デフォルメ」の世界観は違う…

井上先生より
作業量が結構あると思うので、スケジュールをしっかり立てて、着実に進めてほしいと思います。変換する際のいわゆる「関数」の度合いによって、見た目が大きく変わってくるので、いろいろ試してほしい。

佐藤先生より
1024x768ピクセルあったら、ドット絵って写真に見えると思うんだけど。1ピクセル=1ドットではないってことでしょうか? しかしドット絵が平面的に立体になっている、っていうのは何とも中途半端な表現に見えます。やっぱりレゴみたいな表現(フル立体ドット絵)には負けるのでは。
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● B 13 近藤 響介

先生方の講評は,全体的な印象として,やり方次第で,小学生の実験レベルにもなるし,作品レベルにもなるという感じです.展示でいかにコースティクスを美しく見せるかがポイントです.まだまだ実験が足りないようです.水・ガラス以外の素材にも注目して,ゆらめく光の集中と拡散を試みましょう.実験したときには必ず,写真とその状態の記録を行い,再度構成できるように偶然を必然にしていきましょう.

今泉先生より
水とガラスを使った光の演出という意味で理解した。実物の展示ということになると光源やレイアウトを注意深く扱う必要がある。実験から得られた面白い結果を展示してもらいたい。

森山先生より
<コースティクス・ライティング> コースティクス=集光模様。ガラスと水に関わる光の「造形」は珍しいとは思えませんので、伝わりやすい以上に、ユニークさ、驚きを期待したいものです。

長澤先生より
いわゆる「光」を理解する実験を、わかりやすく展示するというものだろうから、いかに上手に見せるかにかかっている。科学系のミュージアムでの実験展示などを実際に見学してみることを薦める。展示のセットは、しっかり作り込むこと。

井口先生より
研究内容のサマリーが現状では貧弱なので、きちんと文章化すること。作品サンプルは美しいイメージだが、まだリサーチ不足の様子なので早急に作業進め演出方法についても実験を重ねる必要あり。

井上先生より
いわゆる生徒時代の理科の実験と比較して、どのようなアドバンスがあるのか、という点がすごく気になるところです。どこにでもある、しごくスタンダードな結果にならないように、美大4年としての内容になることを期待します。

佐藤先生より
うまく仕立てると面白い作品ができそうですが、それはまずもとの現象が面白いからであって、展示方法がそれを著しくパワーアップしていることが見えてこないと、評価につながらないことが懸念されます。
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